例えば、日本酒。「グルタミン酸、ロイシン、アルギニンなど20種類以上のアミノ酸がバランスよく含まれている。他のお酒に比べても断トツの豊富さ」(酒ジャーナリストの葉石かおり氏)と声を上げる。

 お酒の成分の研究に目を向けてみよう。まだ「可能性がある」という段階で、議論の余地があるにせよ、注目すべき報告が出てきている。

 世界的に最も注目され、研究対象となっているのは赤ワインに含まれる「レスベラトロール」だ。5000種類以上あるポリフェノールの一つである。

 長年、この成分の研究を続けてきたキリン(メルシャン)は、このところ解明されてきた効能として、内臓脂肪蓄積抑制(抗肥満)の作用を挙げる。肥満モデルのゼブラフィッシュを使った実験で、レスベラトロールを含んだ餌を与えたところ、内臓脂肪と血中中性脂肪の増加が抑制されたというのである。

 老化を抑制するサーチュイン遺伝子、通称「長寿遺伝子」を活性化させ、脂肪細胞でEP300と呼ばれる酵素の働きを抑える。食事カロリー制限時と共通する抑制のメカニズムが働くことを明らかにした。

 サーチュイン遺伝子を通じたレスベラトロールの働きは、これだけではない。愛情ホルモン、幸せホルモンどととも呼ばれるオキシトシンが関わってくる。

 キリンは、オキシトシン受容体が働かない自閉症モデルのマウスに、レスベラトロールを投与。それによって、マウスの社会性の低下が改善されたという(下図参照)。