鶏肉業界は数十年かけて、成長が速く胸肉の大きな品種を開発してきた。それが今や、手で簡単にさけるような肉質の「スパゲティミート」や、皮革のように繊維質が固い「ウッディブレスト(木のような胸肉)」への対応に莫大(ばくだい)な費用を投じている。そうした異常は食の安全リスクを投げかけているわけではないと研究者や業界幹部は話す。肉質の変化は鶏の成長加速による副作用のようだ。全米鶏肉協議会によると、鶏が成長するペースは50年前から2倍速まり、6.3ポンド(約2.8キロ)の鶏で47日間となっている。タイソン・フーズ、ピルグリムズ・プライド、パーデュー・ファームズ、サンダーソン・ファームズといった米食肉大手はそうした効率性向上を追い風に、2018年はチキンナゲットなど鶏肉商品の生産量を過去最大となる420億ポンドに増やした。アーカンソー大学の研究者らによると、業界は現在、飲食店や食品店で売るには硬すぎたり、柔らかすぎたり、筋が多すぎたりする胸肉を見つけて他に転用する費用として、年間推定2億ドル(約222億円)を負担している。
成長速めた鶏、胸肉「スパゲティ化」の問題も
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