時間と記憶、解き明かされる脳の謎人がどのように記憶の順番づけをしているのかが研究によって明らかになり始めている Photo:PIXTA

 人の体はいつ眠りにつき、いつ目覚めるべきかを知っている。人の脳は頭の中のストップウォッチのように短い時間であっても経過を追うことができる。しかし人間の記憶の中では時間の感覚はあいまいだ。ここにきて、人がどのように記憶の順番づけをしているのかが研究によって明らかになり始めている。

 科学者によると、脳の働きに関して研究で明らかになった新たな事実を他の発見と組み合わせれば、アルツハイマー病など認知症を含む病気の理解や早期発見に役立つ可能性があるという。

 コロンビア大学のリラ・ダバチ心理学教授によると、人は記憶の中で時間を主観的に認識しているという説は心理学ではよく知られているという。忙しいとき、人は一日があっという間に過ぎるように感じることがあるが、あとから細かいことをいろいろと思い出すことで記憶は膨らむ。

 しかし脳がこうした時間の感覚をどのように刻んでいるかについては、分かっていることは少ない。脳の中で学習と記憶をつかさどる海馬とその周辺の領域の関連を指摘する研究が多い中で、神経科学者が今、記憶を時間の中に位置づける役割を果たす領域として注目しているのが、海馬に情報を送り込む外側嗅内皮質だ。