日本と欧州連合の国旗Photo:iStock/gettyimages

――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト

 ***

 「日本化」が復活している。欧州の経済成長とインフレの鈍化を受け、ウォール街では欧州が日本化しているとの懸念があらためて浮上している。バンクオブアメリカ・メリルリンチ(BAML)によれば、この認識に基づく取引は現在「世界で最も意見が一致する取引」だ。

 言うまでもなく、日本は何年も低インフレに手を焼いているうえ、日本株は30年近く前の暴落から回復していない。欧州にはよく似た現象が幾つかある。欧州中央銀行(ECB)と日本銀行はいずれも、長らくゼロ金利やマイナス金利を試してきたが、物価上昇には至っていない。日欧のいずれも、問題の度合いを認識する前に性急に利上げを行った。加えて、日本でも欧州でも高齢化が成長見通しを圧迫している。

 こうした類似点は投資家にとって重要だ。だが政府と市民にとっては相違点の方が重要かもしれない。実際には、日本の経済成長は一般に考えられているほど悪くないし、欧州の政策対応は日本と全く違う。

 確かに、日本は1990年のバブル崩壊後10年にわたり伸び悩み、銀行は問題に見舞われた。だがその後の日本経済は(人口減少の影響を除外するため1人当たりを基準とすれば)順調だった。世界銀行によると、日本の1人当たりの国内総生産(GDP)は2000年以来、購買力平価ベースでユーロ圏より速い成長を遂げている。しかも06年以降の成長は米国や英国より速い。日本の失業率は一貫してどの先進国よりも低い。

 欧州は08年と10~12年に起きた2つの危機に金融緩和政策と緊縮財政政策で対処した。日本の対応は全く逆だった。危機後20年以上にわたり、ほぼ常に、プラスの実質金利(つまり、インフレ率をやや上回る金利)を維持した。ECBは、11年の間違った利上げから撤退して以来、コアインフレ率(エネルギー、食品、アルコール、たばこを除く)を超える金利を設定してこなかった。

 ECBだけでは欧州の災難全てに対処できなかったとしても、金融緩和がデフレ回避に役立ったとするマリオ・ドラギECB総裁の見解に賛成するのは理にかなっている。