世界同時不況によって、あらゆる産業が成長鈍化の局面を迎えてきた。不動産業も同様。だが三津川社長は言う。「再スタートの機は熟した」と。はたして、センチュリー21・ジャパン独自のFC戦略とは?

 「不動産ビジネスは、時代の推移で消失することがない産業です。もちろん昨年からの世界不況による影響はありました。しかし、お客様のニーズがなくなったわけではありません。政府の支援策なども動き始めた今、むしろお客様は『いよいよ』と考え始めています」

三津川一成社長
代表取締役社長 三津川一成氏 1948年生まれ。京都大学卒業後、伊藤忠商事入社。伊藤忠不動産を経て、84年、設立後間もないセンチュリー21・ジャパンへ。創業期から同社の成長を牽引し、2004年より現職。

 代表取締役社長の三津川一成氏は、日本の不動産市場の現状をこう分析。次なるチャンスの到来を予感しているという。ただし、今までとは違う変化が訪れていることも指摘する。

 「インターネットの浸透は、不動産物件の売買や賃貸流通においても、大きな追い風となりました。当社の成長を支えた要因の一つでもあります。しかし、同時にお客様が確かな情報に接することも可能になりました。当然のことながら『本当に安心できるところから買いたい』という希望がお客様にはあります。安心や満足はどこにあるのか。それを知ることが容易になったのです」

吟味する時代にこそ
問われるブランドの力

 こういう状況のなかで注目されるのはブランド力である。そもそも「センチュリー21」はアメリカで生まれ育った不動産ブランド。物件売買に厳しい目を持つアメリカ市場で獲得したノウハウを、着実に体系化しながら世界にネットワークを拡大。今では65ヵ国で不動産流通を展開する「世界共通ブランド」のフランチャイズだ。

 日本においても1983年の開業以来、その知名度と信頼性を育ててきた。同社の成長の背景には、常にこのブランド力が大きな強みとして存在してきたのである。

 「世界中で定着している実績があるからこそ、日本国内で不動産業を営む皆さんにも魅力を感じてもらい、私たちは加盟店ネットワークを大きくすることができました。お客様にも『地元の不動産屋さん』だという安心と、『世界のブランド』だという信頼が重なることで、支持をしていただけていると自負しています」

 しかし「これから再び始まる」という熾烈な競争を前に、三津川氏はさらなる成長戦略の必要性を強く感じたのだという。