今週、北大西洋条約機構(NATO)は70周年を祝ったが、現在のNATOは大西洋両岸のどちらからも、それほど敬意を払われていない。もしNATOがなかったら今の世界はどんな姿になっていたか、想像してみる時期が来ているのかもしれない。20世紀前半は、米国が欧州の戦争に何らかの形で引きずり込まれることを示した時代だった。NATOの目的の一部は、こうした紛争が起き、再び米国を巻き込むリスクを減らすことだった。ドイツにとってNATOへの加盟は、近隣諸国に脅威を与えることなく、自国の経済と軍の再建を可能にするものだった。それは機能した。NATOは、ソビエト連邦と同国を盟主とするワルシャワ条約機構に対抗する上で、欧米諸国の結束維持に役立った。再統一された現在のドイツは、近隣諸国と平和な関係にあり、欧州経済の要となっている。欧州連合(EU)を推進する人々は、彼らが愛するEUのプロジェクトが、こうした成果の要因だと主張するが、欧州の平和を維持するNATOの存在がなければ、EUも存在していなかっただろう。
【社説】70周年のNATO、その存在価値
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