日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の事件で、日本の司法制度の特異な部分がまたひとつあらわになった。検察当局が容疑者と弁護人の通信記録を押収して調べることができ、その行為が検察に不利益をもたらす可能性が低いことだ。ゴーン前会長の弁護団の弘中惇一郎弁護士によると、東京地検特捜部は前会長を4日に新たな容疑で再逮捕し、東京都内のマンションを家宅捜索した際、本人と海外の弁護士などとの通信記録を押収した。弘中氏は、押収されたのは「裁判のための資料ばかり」で、「これは明らかな防御権侵害であり、弁護権侵害」だと述べた。10日には、米国・フランス・レバノンにいるゴーン前会長の弁護士と共同の書簡で検察の行為に抗議したと述べた。押収された資料の返還を裁判所に要請する予定だという。