聴き手はやる気と吸収力に
溢れた人ばかりではない
ゴールデンウィークも明けて1週間経ちました。職場にはフレッシュな新入社員も配属されてくる頃かと思います。そんな入りたての新人ならばともかく、会社での役割が中堅以上になってくると、社内外の色々なところで挨拶や講義、スピーチをする機会が出てくるものです。
そういった中で意外と多い質問が、「飽きさせずに話をする方法」「寝させずに話を聴いてもらうコツ」です。少し冷たい言い方をすれば、「目指すところはそこではないのでは?」と感じます。ですが、実際には聴き手がやる気と吸収力に溢れた場面ばかりとは言えません。そういった課題に向き合わざるを得ないとき、あるんですよね。
というわけで、今回は「退屈させない、寝させない」ことにフォーカスして、実践的なプレゼンのノウハウをお伝えしましょう。
【秘訣その1】
「8分」を意識する
以前、「挨拶やスピーチなど、話す時間はどのくらいが適切でしょうか?」と質問されたことがあります。「1秒でも短くしてください」と答えました。これはプレゼンに限らず、相手のあること全ての営みにおいて考慮すべきことですが、聴き手1人ひとり、人生の時間は有限です。そうした大前提がある中で、聴き手のほとんどは無意識に「自分でコントロールできない時間は極力短くしたい」と、本能として感じているのです。
しかしながら、何らかの目安は必要ですよね。私は企業研修も数多く行っていますが、研修講師の世界には、受講者の集中力維持に関する「90/20/8の法則」というものがあります。これはボブ・パイクというトレーナー育成・研修デザインの専門家が提唱しているもので、「90分に1回は休憩を入れる。20分に1回はペースを変えたり、明らかに異なった形式にしたりする。8分ごとに受講者を参加させる」というものです。
人間の脳は受け身の状態が10分以上続くと、興味を失い始めると言われています。「8分ごとに受講者を参加させる」ということは、研修講師は一方通行のインストラクションやレクチャーを一度に8分以内とすべし、ということです。
あなたが話す時間を決められる立場であるなら、挨拶やスピーチの時間は8分以内に収めることを、まずは念頭に置きましょう。「長いな……」と思われることを避ける最も直接的な方法です。もう少し長尺のプレゼンや講義などを依頼された場合には、次のノウハウが効果的です。