筆者が機内後方の座席を嫌うのは、シートやトイレの狭さ、詰め込み過ぎの頭上荷物入れだけが理由ではない。前方の座席に比べて騒音が大きいのだ。機内の騒音レベルは航空会社や航空機メーカーの選択による。防音材などを増やせば静かになるが、同時に機体が重くなり、燃費は悪くなる。専門家によると、航空機のエンジンは地上での騒音基準に合致するよう静粛性が上がった一方、機内で乗客がさらされる騒音は10年ごとに数デシベルしか軽減されていない。自家用機は、3Mが販売しているキットを使えば騒音を40%カットできる。同キットには、機体表面の振動を低減するコーティングのほか、床下からの音を抑えるためにカーペットの下に入れる防音材などが含まれる。大型旅客機も理論的には騒音を減らすことができるが、そうすると運賃は今よりも高くなるだろう。