ドナルド・トランプ米大統領は過去2年、同盟国も敵対国も差別なく貿易の「悪役」として扱ってきたが、先週になって態度を変えた。トランプ氏は、中国が改革の約束を後退させたとして、対中関税を大幅に引き上げるとともに、米企業が華為技術(ファーウェイ)と取引するのを禁じた。一方で、カナダ・メキシコ産の鉄鋼・アルミニウム関税を解除し、欧州連合(EU)および日本への自動車関税に関する判断を半年間先送りした。米国、欧州、日本の通商当局者は今週会合を開き、連携して中国の補助金政策を制限する方策を協議する予定だ。だが日欧米の「一枚岩」を歓迎する前に、トランプ氏がここにどうたどり着いたかを思い出してみよう。トランプ氏はこれまで同盟国と足並みをそろえてきたのではなく、むしろ冷たくあしらってきた。トランプ氏による中国との対決は、米国の法律やレバレッジ(交渉上の相対的優位性)を駆使して米国が抱く不満や優先課題に対処するという、概して一方的なものにとどまる。トランプ氏が同盟国に対する関税措置を後退させたのは、心変わりからではなく、それが時間もエネルギーも誠意も要し、ほぼ間違いなく思い通りにならない、微々たる結果しかもたらしていないからだ。
ふぞろいの「トランプ連合」 対中で結束なるか
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