2008年の金融危機後に企業が経験した大きな損失は今では遠い記憶だが、小さな影響は残っている。その結果、ノーベル経済学者のロバート・シラー氏が考案した有名な株価基準の結果が違ってくるようにみえるが、恐らくそうみるべきではない。シラー氏は経済学者のジョン・キャンベル氏(現ハーバード大学教授)と共にCAPEレシオを開発した。シラー氏が2000年に出版した「根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然」で株価の割高感を測る投資指標として紹介された。同氏のウェブサイトで見られるこの基準は、インフレ調整後の実質的なS&P500種株価指数をS&P500企業の実質利益の10年平均で割ったものだ。シラー氏が自身のサイトで提供しているモデルによると、現在のCAPEは50年間の平均約20倍に対して28.9倍と非常に高い(訳注:割高、割安の分岐点は25倍程度とされる)。CAPEが非常に高い時には中期リターンが標準以下になる傾向があるため、気がかりだ。
米株の割高、CAPEが示すほど極端か
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