1969年7月、宇宙船アポロ11号が月面の「静かの海」に着陸すると、ホテルチェーンのラマダ・インは新聞に全面広告を掲載した。超近代的なホテルが描かれ、見出しは「間もなく月に!」。それから半世紀、ようやくそのアイデアはそれほど突飛なものには見えなくなった。ニール・アームストロング船長が新たな時代を象徴する一歩を踏み出して以降、人を再び月に派遣する――さらには月を商用目的で開発する――可能性がかつてないほど高まっている。月探査が再び検討されているのは、サターンロケットや月面着陸船を生み出した原動力である競争が再び激化しているからだ。米国は現在、2030年までの月面基地建設を公言する中国との競争にさらされている。国内に目を転じれば、スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)創業者のイーロン・マスク氏とブルー・オリジンを所有するジェフ・ベゾス氏が、月や火星での居住を可能にすべく競争を繰り広げている。富豪2人は米航空宇宙局(NASA)の同様の計画とも競わなければならない。
米国の月探査、新たな競争時代に突入
「月に戻るためのピースがそろいつつある」
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