ダイバーシティ&インクルージョンをかたどる土地でのエンターテインメントの発信――まるで、街の深化を見据えていたようなジャニー喜多川さんの先見性と引力(物事を引き寄せる力)には驚くばかりだ。
東京グローブ座が発していく
ジャニー喜多川さんの「光」
2019年8月、そんな東京グローブ座のステージに立っているのが、V6・トニセン(20th Century/坂本昌行・長野博・井ノ原快彦)の3人だ。
彼らによる「TTT (TWENTIETH TRIANGLE TOUR) 」の第2弾「カノトイハナサガモノラ」は、コンサートでもトークショーでもない、ストレートプレイでもミュージカルでもない、唯一無二のエンターテインメント作品になっている。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、劇中、3人がV6の楽曲を口ずさむシーンは切なく美しく、東京グローブ座ならではの役者と観客の呼吸の近さを感じる。
そして、ネット社会が生む同調圧力とは真逆の“他者に対する尊重と寛容”が作品全体に通奏し、鑑賞後の心地よい充足感を連れてくる。
トニセンの3人は、2002年の東京グローブ座の開館直後に主演舞台をそれぞれ行っており、ジャニー喜多川さん逝去後の最初の公演が彼らのステージという巡り合わせも感慨深い。
また、これも前稿で記したとおり、トニセンとカミセン(Coming Century/森田剛・三宅健・岡田准一)で構成されるV6は、個性と総体のバランスが卓越したグループで、ダイバーシティ&インクルージョンの時代にシンクロしていることも記憶にとどめたい。
優れたエンターテインメント作品は人々の心を明るくし、ショービジネスの成功は社会を豊かにする。
Show must go on!
“ダイバーシティ・タウン”にある東京グローブ座は、“キング・オブ・エンターテインメント”ジャニー喜多川さんの光を令和の時代も間断なく発していくだろう。