ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の独裁政権が、水面下で慎重ながらも自由市場政策へとかじを切っている。ハイパーインフレと米国の大恐慌よりも深刻とされる景気後退に対処するため、従来の厳格な国家管理から方針を転換しているようだ。新たなアプローチを受け、瀕死(ひんし)状態のベネズエラ経済に一筋の希望の光が差し込んでいる。マドゥロ政権は、かつてはやみくもに増刷していた紙幣の供給ペースを落としたほか、度重なる賃上げをほぼ停止。危機的な食糧難や闇市場の暗躍を招いていた価格統制も緩めた。国民議会によると、インフレ率は1月につけたピークの年率260万%から、8月は13万5000%まで低下した。