保険商品の開発進まず
郵便局の「ノルマ販売」に依存

 金融事業は、金融自由化やフィンテックなどの技術革新が激しい分野なのに、「半官半民」では、手足を縛られて泳げと言われるようなものだ。

 例えば、かんぽ生命の簡易保険はおよそ100年前の1916年に開発された古い商品だ。その当時、健康診断が行えないという事情もあり、それが特徴になっている。

 民間生命保険の場合は、健康診断を要件としてリスク管理を行った上で、保険料率と保険額を決めている。しかし簡易保険の場合は健康診断がないのでリスク管理がうまくできず、それをカバーするために、保険額を低く抑えている。

 単純な仕組みだが、保険数理からみれば「どんぶり勘定」にも近いものであり、保険商品として保障機能が弱く、運用成績の悪い証券投資信託と同じような商品であるといえる。

 このため簡易保険は、金融自由化の波をモロにかぶって魅力のない商品だった。

 こうしたことを克服するために、民営化して民間並みの商品開発を期待したが、「再国有化」されたこの十数年は無駄な時間を浪費しただけだった。

 かんぽ生命は、商品開発能力がなく、魅力のある新商品開発ができずに、その代わりに郵便局職員の「ノルマ販売」で戦おうとした。

 日本郵便自体も、全国一律サービスを義務付けられ運営費がかさむ一方、郵便物の大幅減少が続くなか、収益向上策を描けないなかで、かんぽ生命の旧来商品をいわば体育会系のノリで売るしかなかったようだ。

 ネット上では、こうした営業実態は以前からあり、不正をしてきた者が偉くなっているとの郵政関係者と思しき書き込みもある。10年くらい前から蔓延し始めたという証言もある。ちょうど「再国有化」のタイミングだ。

 郵政を「再国有化」すれば、当然のことながら元の官僚主導の体質は変わらず、新商品開発のための知恵もない。せめて他の民間生保並みの保険商品であれば、それほどの「ノルマ」を課さなくても、郵便局ブランドである程度販売できただろう。

 今回の不祥事によって、かんぽ生命は「ノルマ」営業と決別せざるを得ないが、生命保険商品として簡易保険を売ることはもはや難しいと思われる。経営基盤への大きな打撃だ。

企業向け融資できず
収益を手数料収入に頼る

 一方で、ゆうちょ銀行は、本来の民間銀行であれば、収益源となるべき企業向け貸し出しができないので、収益が上がらず、このため、本業でない投資信託販売による手数料収入に頼っている。