というのも、研修の最後には全員が「30年に向け、どういうビジネスをすべきか」という課題について、永守会長や吉本浩之社長の前でプレゼンをしている。その場で永守会長らから講評があるのはもちろんだが、決して“言いっ放し”にはさせない。自身の職場に戻った後、プランに沿って実際に何を変え、どんな準備をしたのか、1年後にきっちりフォローアップするのだ。経営者候補たちは、自分たちは選ばれし存在だという自覚とともに、中長期まで見据えて日本電産で働く“覚悟”を求められる。

 M&Aによって日本電産グループの一員になった国内・海外子会社の帰属意識を高めるためにも、こうした研修は重要な意味を持つ。

外国人には経営理念
日本人には英語を重視

 将来の経営者候補向けのグローバル経営大学校の、そのまた候補を育成するプログラムとしては、「次世代グローバル経営人材育成」がある。これは17年からスタートしたもので、各拠点のトップ候補に続く、文字通り“次世代”を担う社員が対象だ。

 この研修は、あえて日本人と外国人を分けて行っている。

 外国人、つまり海外の現地スタッフに対しては1週間、主にニデックウェイを徹底的にたたき込む。そして、それぞれの国や工場に戻って永守イズムの“伝道師”を務めた後、一定期間を置いてまた1週間の研修。その人材の中から、グローバル経営大学校に上がる候補も見極めていく。

 一方、日本人については、英語でビジネスや議論ができるようになるための研修が中心だ。「グローバル人材というのは単に英語ができるだけではなく、英語を使いながらグローバルな発想でグローバルな仕事ができるような人材。それをどう育てていくかが大事」と渡邊CAO。

 2年前から、まだ海外経験のない若手社員を3カ月間、海外の拠点に派遣し、朝から晩まで英語漬けで仕事をさせるという「海外トレーニー制度」も実施している。

 30年に売上高10兆円という目標に向かって、さらに世界規模で拡大していかなければならないことは必定である。強い影響力を持つ創業者の引退後も見据えて、社員教育の仕組みを磨き上げる日々に終わりはない。

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訂正 記事初出時より、以下の部分を修正しました。記事1ページ目の第2段落:20階建て→22階建て (2019年10月11日17:20、ダイヤモンド編集部)