大統領弾劾とメディケア・フォー・オール(国民皆保険制度)をめぐる話題が随所で目立つ米民主党の大統領予備選シーズンだが、あるものが欠けている。それは、米国以外の世界の話だ。民主党の13人の大統領候補は、週末の同党の大規模イベントで、何千人もの同党の活動家らの歓声に包まれて演説したが、世界という舞台で米国が果たすべき役割については、ほんのわずかに言及しただけだった。これは、米国が外交上の岐路に立つ中で、残念なことだ。岐路の一方は、世界経済や安全保障問題への関与を継続する道であり、もう一方は、これらの問題からの離脱の道だ。民主党のこれら大統領候補が演説している間も、米軍は少なくとも海外の3つの国で敵対勢力と対峙(たいじ)していた。つまりイラク、アフガニスタン、シリアである。ドナルド・トランプ米大統領は、終わりのない戦争に米国がはまり込んでいるとの主張に基づき、基本的にこの3カ国すべてから手を引くことを望んでいる。そして同氏は、国際関係と自由貿易を重視するという共和党の伝統的な考え方から、同党を引き離そうとしている。トランプ氏の支持者の大半と、進歩派の左派の一部がこの考えに賛同している。