致死率が高い伝染病として恐れられているエボラ出血熱が猛威をふるうアフリカの地、コンゴ民主共和国からエボラをはじめ感染症対策の現状や最新事情について、国立国際医療研究センター国際医療協力局から現地に「JICAコンゴ民主共和国保健省次官付顧問」として派遣されている日本人医師、仲佐保がレポートする。今回は第6回。現地には、エボラと類似した感染症が多く、一番の課題である早期発見・早期治療が困難である実情を伝える。(コンゴ民主共和国保健次官付顧問・JICA・国立国際医療研究センター医師 仲佐 保)
エボラ対策の課題は早期発見と早期治療だが
類似疾患との区別が困難
エボラ対策で一番の課題は、エボラの早期発見、早期治療である。しかしながら、エボラの症状は発熱、下痢、嘔吐といった一般的なもので、同地域で流行している他の疾患であるマラリア、はしか(麻疹)、コレラ等との区別は難しく、エボラとして治療されないことも多い。
そのため、住民が住んでいる近くの保健センターや一般病院での他の患者への感染、医療従事者への感染が起きている。
特に医療従事者の感染は、その医療従事者を通じて他の患者への感染も引き起こし、流行の拡大にもつながっていた。実際、今回の北キブ州の流行でも、2019年1月の時点で、40%の症例が早期発見されず、死亡後に確認されている。