致死率が高い伝染病として恐れられているエボラ出血熱が猛威をふるうアフリカの地、コンゴ民主共和国からエボラをはじめ感染症対策の現状や最新事情について、国立国際医療研究センター国際医療協力局から現地に「JICAコンゴ民主共和国保健省次官付顧問」として派遣されている日本人医師、仲佐保がレポートする。今回は第5回。コンゴのエボラ流行は終息するどころか、隣国でのウガンダで発見例も出るなど、感染地域は広がりつつある。日本政府も国際緊急援助隊感染症対策チームを派遣した。
エボラ流行の地域の拡大
東部の最大都市ゴマ市へ
コンゴ民主共和国の東部の北キブ州とイツリ州でのエボラ流行は、終息するどころか、次第にその感染地域が広がり、2018年10月には、北キブ州6保健ゾーン、イツリ州3保健ゾーン、計9保健ゾーンでの流行であったものが、2019年3月には、北キブ州15保健ゾーン、イツリ州5保健ゾーン、計20保健ゾーン、2019年8月には、北キブ州19保健ゾーン、イツリ州9保健ゾーン、南キブ州1保健ゾーン、計29保健ゾーン、隣国でのウガンダで発見例も出るなど、拡大している。
感染拡大の大きな理由は、この地域は1990年代から内戦状態となり、主な流行地における治安が悪いこと、そして、北キブ州およびイツリ州の住民の政府や国連機関に対しての不信による治療や予防接種への協力の拒否である。