店舗数の増加とともに、国内既存店売上高は伸び悩み、従業員の獲得コストも高まっていった。それでも本部は、人件費などのコストを加盟店に負担させる仕組みで高い収益を計上。“東大阪の乱”によって、こうした矛盾が一気に噴出した格好だ。
経済産業省は4月、加盟店支援の行動計画を策定するよう各社に要請。さらに、省内に有識者会議を設置し、オーナーへのヒアリングなどを実施した。加えて公正取引委員会も、本部による加盟店への「優越的地位の濫用」の有無を実態調査すると表明。行政による圧力が一段と強まった。
これを受けてようやく各社も、加盟店が深夜に閉店する「時短営業」の容認や、徴収するロイヤルティーの料率を下げるなどの支援策を打ち出すようになった。
「加盟店から24時間営業の見直しを求める声は全く出ていない」と本部の首脳が語っていた数年前と比べれば、加盟店を取り巻く状況の改善が進んだことは間違いない。だが、これまであまり話題になっていない、加盟店の負担増につながりかねない“爆弾”がまだ眠っているのだ。
負担する余裕がない
大きな保険料コスト
「オーナーの知識不足や怠慢というより、支払い義務は認識しているが、負担する余裕がないというケースが多いのではないか」
コンビニ加盟店の労務問題に詳しい社会保険労務士の安紗弥香氏がこう指摘するのは、社会保険だ。厚生年金保険と健康保険の保険料は、労働時間が一定以上に達する場合、国籍や雇用形態を問わず、事業主と従業員が折半して支払う義務がある。