SEJで平均的な1日の売上高である65万円を稼ぐ店舗の場合、本部にロイヤルティーを支払い、人件費と売れ残った商品の廃棄費用を負担し、オーナーの手元に残る純利益は月に約47万円だ(下図参照)。
社会保険料の支払い義務は正社員でなくても、労働時間が正社員の4分の3以上という条件を満たした場合に発生。オーナーは手元に残った純利益からさらにこれを支払うことになる。
法人の場合は、対象となる従業員が一人でもいれば支払い義務が生じるが、個人事業主の場合は5人以上と適用基準が緩い。
そのため最近では、余裕のないオーナーが法人を解散して「法人成り」ならぬ「個人成り」するケースが横行。法人であれば保険適用となるはずの従業員が、受給資格を失っているわけだ。
ではその負担は、いったいどれだけの金額になるのか。正社員が月間22日、1日8時間働くケースでは、その4分の3を超える月間17日、1日8時間都内の最低賃金で勤務した従業員の保険料は、事業主負担分だけで月に1万8894円。個人事業主の適用基準となる5人なら合計9万円を超える。前出のモデル店舗ならば、保険料の負担によって9万円超が純利益の47万円から消えるわけだ。
また従業員側にも同額の支払い義務が存在し、その分だけ手取りの給料が減ることになる。
深刻な人手不足の環境で、社会保険料分を上乗せして給料を支払えるオーナーは多くはない。それどころか、「従業員が少ない店舗ほど1人当たりの労働時間が長く、社会保険料の支払い義務が生じやすい」(あるベテランオーナー)という状況もある。