結果的に裁判は振り出しに戻ったわけだが、遺族にしてみれば法曹界の理屈や理念などはどうでもよいわけで、判決後に記者会見した萩山さんの母、文子さん(79)は「結論まで時間がかかるかと思うと歯がゆい」「頭の中がむちゃくちゃ。早く良い結果を報告したいのに…。嘉久には至らなくてごめんねとしか言えない」と落胆を隠せなかった。

あおり1回で一発免停

 一方、警察庁が6日明らかにした厳罰化のポイントは▽道交法の条文を改正し「あおり運転」を定義▽15点以上の減点とし違反1回で運転免許を取り消し▽免許再取得までの欠格期間は1年以上▽罰則として2~3年以下の懲役や30万円以下の罰金を軸に検討――などとしている。

 同日開かれた自民党の交通安全対策特別委員会で報告し、この内容で年明けの通常国会に法案を提出する方針だ。

 一般的に「あおり運転」といえば、異常接近や蛇行運転、急な車線変更で相手を威嚇したり、ハイビームやクラクションを鳴らしたりして挑発する危険な行為をイメージすると思う。

 今回の警察庁の狙いは、こうした抽象的な概念を明確に「禁止行為」として明示し、行ったドライバーには厳しいペナルティーを科すというものだ。

 特別委員会で提示された案は▽車間距離保持義務▽急ブレーキの禁止▽進路変更の禁止――といった既存の違反を「通行の妨害目的」で行い、さらに「交通の危険を生じさせる恐れ」を引き起こした場合を想定して「あおり運転」と定義。

 前述の東名事件や、今夏に発生した常磐自動車道の「あおり運転殴打事件」のように、高速道路で他人の車を停止させるなど顕著な危険を生じさせたケースも盛り込む。

 現行法で「一発免停」は酒酔い運転や共同危険行為などに限られるが、これまであおり運転に適用されていた車間距離保持義務違反(2点)から極めて厳しい措置となる。

 罰則は刑法の暴行罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)や強要罪(3年以下の懲役)を念頭に、どれぐらいが妥当か議論を進める。

 一方で、恣意(しい)的な取り締まりや偶発的に前の車に接近したドライバーまで摘発しないようにするため、「通行の妨害目的」にはその意図を持ち執拗(しつよう)に違反行為を繰り返した場合に限定。

 そのため、違反として立証するにはドライブレコーダーや現場周辺の防犯カメラの映像、同乗者や付近の通行車両のドライバーらによる証言など、客観的な証拠が必須になるとみられる。