日本で唯一、私有地での実証実験ではなく公道で電動キックボードのシェアリングサービスの展開を始めたドイツ発祥のWind Mobility(ウィンド・モビリティ)。特集「来るか!?電動キックボード旋風」(全5回)のVol.4ではウィンド日本法人の及川克己社長に、公道サービスを試して見えてきたものについて聞いた。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
公道でのサービスを
他社より先行した理由
――なぜ他社のように私有地での実証実験ではなく、公道でのシェアリングサービスを先行することにしたのでしょうか。
ウィンドは欧州を中心に7カ国・20都市に展開しているドイツ発祥の会社です。日本では2019年3月から埼玉高速鉄道の協力の下、浦和美園駅にステーションを設置し、実証実験ではなく実装のサービスを始めました。そして、法に準拠する形で車体にミラーを付けたりヘルメットを用意したりし、それに合わせてアプリの仕組みも整えました。また、今年末まで千葉市内の公道で実証実験も行っています。
われわれとしては将来的にも公道での走行を前提としています。そうであれば、ビジネスとして覚悟を決め、公道での本格的な展開を考えて市場をテストするのは当たり前ですよね。
公道での走行サービスを行うに当たっては、事業者として緊張するし、日々のオペレーションも大変です。いつか事故が起きるかもしれないという、リスクを伴うことでもあるからです。だからこそ、現場でテストしなければならないと考えています。
欧米でも、当初は事業者に比較的自由にオペレーションさせていましたが、事故の増加を受けて、徐々に規制が強まってきました。どんな形でやるにせよ、もはやもろ手を挙げて安全などと言える状況ではなくなってきています。
こうした前提を踏まえ、日本独自の公道での実証が不可欠だと考えています。例えば、欧州の都市では歴史的な建造物を守る街づくりの観点などから、都市中心部への車両の進入を制限しているとも聞きます。日本では、そのようなことまで気にする必要には迫られていません。