イランは核合意の中核をなすウラン濃縮の限度に縛られないことを宣言した。イランが実際にウラン濃縮を進めるとなると、原爆製造に必要なウラン濃度に達するのにそれほど時間はかからないといわれている。

 これに最も敏感に反応するのはイスラエルだ。

 イランが核を保有することになれば、核を保有するイスラエルの中東地域での戦略的優位性を損なうのは自明だ。イスラエル国内では軍事的行動をとってでも、これを阻止するという議論も強くなるだろう。

 一触即発の状況になったとしても驚きではない。このような状況の中で米国大統領選挙が佳境に入る本年夏以降にトランプ大統領が再選をにらみ、対イラン強硬策をとることも想定しておかなければならない。

北朝鮮は何を読み取っている?
「瀬戸際作戦」は継続

 北朝鮮は米国とイランの緊張を凝視しているだろう。

 2002年にブッシュ大統領が一般教書演説でイラク、イラン、北朝鮮は「悪の枢軸」であると名指しをし、テロとの戦いや対イラク戦争を始めた時、北朝鮮はおびえた。

 それが間接的に2002年9月の小泉首相訪朝・平壌宣言につながった。

 北朝鮮は米国の緊密な同盟国日本との関係を改善することが自国の安全を増すと考えたのだろう。イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官がドローンで殺害されたとき、さらに米イランの衝突が一気にエスカレートしそうになったとき、北朝鮮は「明日は我が身」と思ったに違いない。

 北朝鮮は昨年末を米国との非核化交渉の期限と設定し、米国が北朝鮮敵視政策をやめない限り行動を起こすと宣言していた。

 その後、再び軍事的な挑発行動やICBM・核実験の再開を宣言するのではないかとも思われたが、今日に至るまで米国からの対話再開の要請に応えないこと以外に目立った行動は起こしていない。

 おそらく北朝鮮は次の手を思案しているのだろう。

 米国とイランの緊張から何を読み取ったのか。米国は予想できないような行動を起こすことに恐怖を抱いたか、あるいは戦争を望まないという言明に安堵したか。

 いずれにせよ、基本戦略は「瀬戸際作戦」を続けつつ、自国の有利な形で米朝交渉を行える時期を見極めるということだろうと思われる。

 米国上院における弾劾裁判やトランプ大統領の支持率の推移、そして夏の全国党大会に向けた民主党候補者の決定などを見て、トランプ大統領の立場が弱まっていれば北朝鮮が望む形で結果を作る好機と考えるのかもしれない。

 他方、トランプ大統領は、北朝鮮の核・ICBM実験をやめ、北朝鮮を交渉の場に引きずり出したのは自らの成果だと誇っている。もし北朝鮮が挑発路線に戻るなら、トランプ大統領は反転して強硬策に踏み切る可能性も高い。