英国や中国、オーストラリアなど世界中の住宅市場が勢いを失いつつあり、昨年の成長率が金融危機以降で最低に沈んだ世界経済の見通しにさらなる影を落としている。オックスフォード・エコノミクスの分析によると、米ダラス連銀が発表する主要23カ国の住宅価格指数(インフレ調整後)は、2019年7-9月期には前年同期比1.8%の伸びにとどまり、直近のピークだった2016年の4.3%から低下した。また経済規模が大きい18カ国による世界的な住宅投資は、19年7-9月期まで4四半期連続で前年同期より減少。2008~09年の金融危機以降で減少が続いた最長期間だという。主因の1つは過去2年間の世界的な景気減速で、これが住宅需要や住宅価格の上昇を抑えている。大都市では手頃な物件が限られていることが、購入希望者の多くを思いとどまらせる。また外国人による不動産投資意欲も冷え込んできた。米中貿易戦争、英国の欧州連合(EU)離脱、香港の反政府デモなどで先行き不透明感が高まり、それが住宅購入者の心理に重くのしかかっている。
世界経済に新たな陰り:住宅市場の「同時減速」
国境を越えて経済成長や金利が横並びの動きをする傾向が強まっている
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