あきんどスシロー代表取締役社長堀江陽氏
Photo by Koyo Yamamoto

店のコンセプトから料理の1皿に至るまで、外食産業の経営者は消費者の心をつかむスペシャリストだ。個性派ぞろいの「外食王」たちは何を考えているのか。連載「外食王の野望」で取り上げる外食トップのインタビューを通じ、そのノウハウをおいしくいただこう。今回はあきんどスシローの堀江陽社長。4期連続で過去最高益を達成し、回転ずし業界で“独り勝ち”を続ける秘訣に迫った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)

「良いものを安く売ること」を徹底
創業以来のDNAを海外にも伝えていく

――2019年10月に社長に就任しました。意気込みは。

 わが社の企業理念は「うまいすしを、腹一杯」なのですが、冒頭に「もっと」を付けて「もっとうまいすしを」にしました。社員1500人には、この「もっと」をやりたい、だから基本からやりましょうと伝えました。

――どういう意味ですか。

 例えば、うちのシャリはおいしいのですが、ベストな状態に炊けていなかったり、日によってばらつきがあったりする。普通のおすし屋さんならば、シャリはベテランの職人が作る大事な仕事。店舗なら店長ですよね。こうした意識や基本的なやり方をきちんと教えるだけで、劇的に味が変わります。私はずっと仕入れをやっていたので、お客さまの口に入るまでの過程をもう一度きちんと教育したいですね。

――社長としての最終目標は。

 良い品質のものを、いかに安く売るか。言い換えれば、価格以上の価値をすしで表現することです。これができれば、客は必ず来てくれる。

 良いものを高く売ることは、やろうと思えば誰でも簡単にできます。ただ、良いものを価格以上の価値で売ることは、努力しないと絶対にできない。これを”スシローイズム”と呼んでいます。

 これは、良い商品の仕入れはもちろん、お店ですしを提供する営業スタッフの質や、食事をする空間の心地よさがそろって達成されるものです。

 創業時から、社員はこの思いを胸に仕事と向き合っています。数年後、私が社長を引退したとしても、このDNAが受け継がれていることが目標です。

 理想を言えば、海外展開を進める中で、海外にもそのようなDNAがちゃんと伝わっていくことが実現できればいいなと考えています。