右肩上がりで成長を続けるすしの市場。けん引役は、市場の約4割を占める大手回転ずしチェーンである。各社は次なる戦いの舞台を海外に位置付け、“SUSHI”の王座を狙う。特集「外食の王様」の5皿目は、あきんどスシローの堀江陽社長、くら寿司の田中邦彦社長のインタビューとともに、回転ずし業界の国内・海外戦略の秘策を探る。
1.5兆円のすし市場をけん引するのは
回転ずしチェーン大手5社
『ミシュランガイド東京2020』からすきやばし次郎が消えた――。
東京・銀座のすきやばし次郎は、2008年から12年連続でミシュランの三つ星評価を得ていた人気の高級すし店。客が殺到したことで、一般客は予約できなくなったため、今回評価対象外となった。
すしへの熱狂は、すきやばし次郎のような高級店にとどまらない。日本フードサービス協会によれば、すしの市場は右肩上がりで成長。18年の市場規模は1兆5497億円と、過去最高を記録した。
成長をけん引するのは回転ずしチェーンの隆盛だ。スシローやくら寿司、はま寿司、かっぱ寿司、元気寿司の大手5社の売上高は、市場全体の約4割を占める。
中でも、業界トップであるスシローの躍進は著しい。運営するスシローグローバルホールディングス(HD)の19年9月期決算は、売上高が前期比14%増の1990億円、純利益は99億円と、過去最高を共にたたき出した。
主力の100円のすしに加え、150円や300円といった高単価商品も人気を博し客単価が上昇。100円ずしだけの価格競争から抜け出した。
今後は主戦場の郊外のロードサイド店に加え、「価格設定を既存のものと変更し、都心での出店を行っていく」と、あきんどスシローの堀江陽社長は鼻息が荒い。