メキシコ市で人気のチュロス専門店「エル・モロ」は2年にわたり、チュロスやホットココアを市内全域に配達するのに米配車大手ウーバー・テクノロジーズの料理宅配アプリ「ウーバーイーツ」を使っていた。だが、2018年終盤にこの関係をほごにした。コロンビアの新興宅配アプリ「ラッピ」と独占契約を結んだためだ。「ラッピは非常に積極的な提案をしてきた」。エル・モロのサンチアゴ・イリアルテ最高経営責任者(CEO)はこう話す。ラッピは配達料金を注文金額の10%にすると申し出た。これに対し、ウーバーの料金は30%だった。ウーバーはラテンアメリカ(中南米およびメキシコ)の激しい価格競争に巻き込まれている。表向きのライバルはラッピと中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディチューシン)だ。だがその裏には意外な事情がある。当事者全ての最大出資者が、日本のソフトバンクグループなのだ。3社に計200億ドル(約2兆1800億円)を投じている。