末日聖徒イエス・キリスト教会(通称・モルモン教会)は半世紀以上かけ、ひそかに世界有数の投資ファンドを築き上げた。教会関係者以外でそれを知る者はほぼいなかった。昨年末、ミステリーの一端が明るみに出た。「エンサイン・ピーク・アドバイザーズ」と名づけられたこのファンドが1000億ドル(約11兆円)もの資金を集めていることを、元従業員の一人が内国歳入庁(IRS)に提出した告発状で明らかにした。この告発者は、エンサイン・ピークの資金の一部を教会が不正流用した疑いがあることも指摘した。モルモン教会側はこの主張を否定している。教会側は投資ファンドの運用資産額についてのコメントを避けた。「われわれは匿名性をいくらか保つよう努めてきた」。エンサイン・ピークを率いるロジャー・クラーク氏は、米ユタ州ソルトレークシティーのビルの4階にあるオフィスでこう語った。フードコートを見下ろすこのビルの入居者表示にエンサイン・ピークの名は載っていない。
モルモン教会の極秘ファンド、運用資金11兆円
収入の1割寄付、秘密のベールに覆われた巨額資金の行方
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