アムロ・アコーシュさんと彼の家族はシリア北西部の自宅から脱出した。マシンガンの銃弾と落下してくる爆弾から逃れるためだ。車もなく、荷物を持ち出す余裕もなく、両腕には息子と娘だけを抱えていた。一家は、長く暗い道を歩いてアタリブの郊外に向かい、オリーブの林に身を隠した。そこで、不安を抱えながら、砲火の嵐から救い出してくれる友人の到着を待った。徒歩での逃避行は「40分ほどかかったが、それは1年にも感じられた」とアコーシュさんは語った。アコーシュさんの一家を含めた100万人近い人々は、何カ月にもわたって反政府勢力の最後の拠点を攻撃するシリア政府軍から逃れる策がないまま、逃げ惑っていた。この攻撃は、バッシャール・アサド大統領の政権に抵抗する反政府武装勢力の残存者を一掃するためのものだ。この戦いがこれまでにもたらしたものは、9年間続くシリア内戦を通じて最大の住民退去だった。
100万のシリア国内難民、行き場失う 軍最終攻勢で
アサド政権の反政府勢力に対する軍事攻撃、「21世紀最大の人道面の惨劇」生むか
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