ギリシャでの聖火の採火式新型コロナウイルスの影響により、史上初めて無観客で行われたギリシャでの聖火の採火式。東京五輪を巡っては開催延期の流れが醸成されつつある Photo:Pacific Press/gettyimages

 新型コロナウイルスは地球規模で人類全体を脅かす。3月16日の米ニューヨーク株式市場の暴落は先の見えない「底なし」を印象付ける。下げ幅は過去最大の2997.10ドル安。我々が目にしたことのない数字が電子ボードに躍った。

 米連邦準備制度理事会(FRB)がゼロ金利の復活を決めたものの市場が全く反応しなかったことも衝撃だった。米国市場の影響をダイレクトに受ける東京株式市場も翻弄され続ける。FRBと歩調を合わせるように、日本銀行が発表した追加金融緩和策も市場は無視した。

 日本時間の16日深夜に開かれた、先進7カ国(G7)首脳による初のテレビ会議システムを使った緊急協議もパンチ力を欠いた。2008年のリーマンショックに日銀幹部として対応に当たった国際経済の専門家はより深刻な事態が進行中と警告を発する。

「今起きている現象はウイルス問題をきっかけに世界的なバブル経済の破裂が始まっていることが顕在化してきたということではないか。そういう危機感がFRBの決定を促したとみるべきだろう」

 新型コロナウイルス問題による経済的混乱への対応の難しさに関して政権幹部はこう分析する。

「ウイルスの侵入を防ぐために各国とも国境の壁を高くしている一方で、経済では国境を超えて協調しなければならない」