ヨーカ堂は、営業利益65億円、純利益16億円で着地。純損益の黒字化は実に6期ぶりだ。「構造改革店舗」として衣料品や住居用品の品揃えを減らし、食料品の販売を増やした店舗の業績が改善したことが奏功した。1700人の人員削減は、グループ企業への転籍や出向、自然減で実現できるとした。

 しかし、そごう・西武は営業利益1億円、純損失が75億円と深刻な業績だ。昨年10月の消費増税による売り上げの減少と、2月中のコロナによる外出自粛が響いた。

 だがむしろ、外出自粛が本格化すのはこれからだ。政府による緊急事態宣言を受け、4月8日から西武池袋本店、そごう横浜店など“ドル箱”の主要店舗が、食品売り場などを除き臨時休業に入った。

百貨店は類を見ない減収で大ダメージでも
なぜか所沢の成功体験を強調した井阪社長

 そごう・西武は3月の業績速報値をまだ発表していないものの、他の大手百貨店の3月の主要店舗の売り上げは軒並み3〜6割減と、過去に類を見ないような落ち込みを見せている。そして4月以降は、臨時休業によってさらに売り上げの低迷が深刻化するとみられる。

 そんな残酷な未来がすでに見えつつあるにもかかわらず、井阪社長がこの日強調したのは、西武所沢店が大幅改装するなどして構造改革を図った結果、2月の来店客数が前年同月比で99.4%と微減にとどまったというエピソードだった。

 新型コロナの感染拡大で、社会は平時とは全く異なるフェーズに入りつつある。こうした中である郊外店舗の改装による客足効果をアピールした井阪社長は、一体どのような認識を持っているのだろうか。

 加えて黒字化に成功したヨーカ堂でも、ショッピングセンターのアリオが臨時休館を迫られており、6期ぶりの黒字化も一過性のものとなりかねない。

「変化への対応」を掲げて来たSEJを軸としたセブン帝国。未曽有の感染症に見舞われる中で向かう先を指し示すことはできないのだろうか。