国もまた、「確信が持てないからといって、常に甘い想定を採用していたらいずれどうなるのか?」と問わねばならないのです。大川小の事故では最高裁によって石巻市の過失が全面的に認められ敗訴したように、今後、感染爆発が起きて多数の「助かるはずの命」が失われた際には、「すでに十分感染爆発の可能性があると予測できていたにもかかわらず国として適切な対応をとらなかった」ということで国が訴えられ敗訴するというワーストシナリオもあり得ます。
大川小の事故は、災害時の命の危機と、危機対応のまずさによる組織の危機という二重のクライシスの教訓があります。
クライシスマネジメントの意思決定の原則は「どちらに転ぶか確信が持てない場合、同程度の確度の想定が考えられる場合はより悪い想定を採用し、迅速に行動に移すこと」なのです。
今後、各都道府県も情勢の変化に応じた意思決定を迫られることでしょう。どうすべきか迷ったら、より悪い想定を採用して対応すべきということになります。その意味では、国に先駆けて独自に非常事態宣言を出し、強力に自粛をお願いするために、休業要請をして協力金の支給を迅速に進めている自治体はそのよきモデルということができます。