【ドラッカー著作ガイド2】仕事への不満・不安を抱えた悩み深い人へPhoto by Toshiaki Usami

「今の仕事は向いていない」「このままでいいのか不安だ」「仕事がつまらなくて苦痛だ」「どうしてもやる気が出ない」「自分の成長が感じられない」「上司とうまくいかない」「部下を率いる自信がない」「部下に結果を出させるためには?」――。特集『仕事に効く ドラッカー』(全14回)の#9ではドラッカーの教えをかみ砕き、あなたの悩みに答える。

「週刊ダイヤモンド」2010年4月17日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

自らの強み、価値観を知れば
卓越した仕事が可能になる

 【今の仕事は向いていない】

 仕事に悩む人がまず読むべきドラッカーの著作は『プロフェッショナルの条件』だ。運のよい人は若いときに手に取り、人生の伴侶にするに違いない。

 ドラッカーはここでもシンプルなことをズバリという。

「今の仕事に向いていない気がする」との声を聞けば、「最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむよう用意をした者だけが手にできる。なぜならば、自らの得るべき所を知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事を行うようになるからである」と答えてくれる。

 肝心なことは、得るべき所を知ることである。そのためには、第1に、自らの強みを知ることだ。

 しかし、ドラッカーの言葉には常に続きがある。「誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い」。

「何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない。できないことによって何かを行うことなど、とうていできない」

 ドラッカーのうれしいところは、本当に親身になって、具体的なところまで、手を取って教えてくれることにある。