仕事に効く ドラッカー#5Photo by Masato Kato

ドラッカーは課題や悩みを抱える人に語りかけてくれる。特集『仕事に効く ドラッカー』(全14回)の#5では直接、アドバイスを受けた直弟子の経験を通して、ドラッカーを知ろう。

「週刊ダイヤモンド」2010年4月17日号および2011年6月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

直弟子の悩みにこう答えた
ドラッカーの「人生相談」

 ズズズズズ――。

 1999年1月1日。95年に米クレアモント大学でドラッカーから非営利組織論の薫陶を受けた直弟子の田中弥生(独立行政法人大学評価・学位授与機構准教授)は、日本の自宅のファックスが音を立て始めると「ドラッカーさんからだ」と気づき、機械に駆け寄った。

 田中がファックスで送った新年の挨拶に、もう返信が送られてきたのだ。驚くことではなかった。ドラッカーはいつも時間を置かずに返信を送ってよこしてくれた。

「あけましておめでとう。今年もいろいろ成果を出して、まい進してください。あなたが精力的に取り組んでいることに私はとても感心しています」

 挨拶と激励から始まった。ふと書簡の2枚目に目が行った。博士課程に進む相談への回答だった。