1990年代にダイヤモンド社が主催したドラッカー講演会。特集『仕事に効く ドラッカー』(全14回)の#6では、その中から、時代を超えていまなお新鮮なドラッカーの講義のエッセンスを、イトーヨーカ堂社長を務めていた伊藤雅俊氏との対話とともにご紹介する。
グローバリズム
肝は情報の国際化
マーケティングの戦略に疑問と注文
経済のグローバル化。今となっては月並みな言葉だ。ドラッカーはその底流にある国境を越えた情報の動きをいち早くとらえ、情報のグローバル化こそが経済をグローバル化することを示唆した。
「中国の内モンゴル自治区の綿花のプランテーションは、綿花を国内にしか輸出しません。しかし、英国のリバプールで決まる綿花の価格を衛星放送でチェックしています。日本や米国と同じテレビを見ることもできます。情報は国境を越えているのです」
情報が国境を越えるなかで、国内だけで仕事をしていても、国際情勢を知らずには成り立たなくなっている。
「学校へ楽器を提供するビジネスで、あるイタリアの楽器会社の強力なライバルとなったのはタイの会社でした。多少質が悪くても構わない子ども向けの分野に、低価格を武器に新規に参入してきたのです。1国だけで仕事をしている人であってもグローバルな視点を持たなければなりません」