ドラッカーの教えは日本の経済人・著名人を魅了し、ドラッカーと直接、親交を深めた者も多い。その中でもウシオ電機会長の牛尾治朗氏、クオンタムリープ代表取締役の出井伸之氏はドラッカーのマネジメント思想の何に共感し、感銘を受けたのか。特集『仕事に効く ドラッカー』(全14回)の#12では、2人の経営者のストーリーを紹介する。
大物経営者たちが鳴らす警鐘
ドラッカーだけに頼れない未来
ウシオ電機会長の牛尾治朗がドラッカーと初めて会ったのは1970年代。対談の席だった。
牛尾はドラッカーを前に日本型の経営を「従業員資本主義(ヒューマンキャピタリズム)」と表現した。そして、米国で企業に最も影響力を持つのは株主だが、戦後の日本は従業員資本主義の下、従業員の1票が1000株に値するくらい従業員との関係が大事にされてきたこと、後継者は株主の推薦ではなくて従業員が期待する次の経営者を経営陣が読み取って従業員出身者から選ぶことが多いことなどを列挙した。