「タテ・ヨコ・算数」の思考法を

 今の日本社会の何が問題かといえば、この連載でも触れた、「タテ・ヨコ・算数」で考える思考法が弱いことです。

 今、日本に一番必要なのは、「岩倉使節団」です。

 どうして明治維新がうまくいったかといえば、大久保利通のリーダーシップが大きいのでしょうが、あの明治維新の大変なときに国を挙げて、2年間も日本を留守にして首相や大臣が必死に学んでいるわけです。

 現代の日本人も、もっと世界の国々から学ぶ気持ちを持つべきです。

 アインシュタインのような天才はほとんど存在しないので、イノベーションのほとんどは既存の知識の組合せです。

 どう組み合わせれば、面白いものができるのか。
「独創性」とか「クリエイティビティ」など、みんなが持っているはずがないので、もっと広く、タテ・ヨコに世界のことを虚心に学んで、マネできるものは全部マネしたらいいのです。

 だから、日本の強みは何かという発想ではいけません。
 強みは弱みだし、弱みは強みなので。
 他の国々と比較して導入できるものはどんどん謙虚にマネをすればいいと僕は思うのですけれど。それで答えになってますか?

男性 大丈夫です。ありがとうございます。

出口 はい。こちらこそありがとうございました。これで終了とさせていただきます。

 過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。