勝ち組負け組#3
コロナ禍の衝撃は「リーマンショックよりはるかに大きい」と語ったトヨタ自動車の豊田章男社長 Photo:kyodonews

コロナ禍の影響により、決算発表の延期や今期予想を示せない企業が続出した。だが、危機は常に変革の好機でもある。特集『恐慌決算の勝ち組・負け組』(全10回)の#3では、「コロナ後」の時代を勝ち抜き、長い目で成長を続けそうな「勝ち組企業」の条件を探った。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

「週刊ダイヤモンド」2020年6月6日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

トヨタの営業益予想8割減の衝撃
決算発表延期や予想非開示も続出

 コロナ禍が日本企業の業績に大打撃を与えている。5月にかけて2020年3月期の本決算発表シーズンを迎えたが、そもそも発表を延期したり、見通しを示せなかったりする企業も相次ぐ異例ずくめの“恐慌決算”の様相を呈しているのだ。

「今期の営業利益は前期比8割減の5000億円」――。そんなニッポン株式会社の苦境ぶりを象徴するような決算となったのが、5月12日に発表を行った自動車最大手のトヨタ自動車だった。

 黒字は保つ見通しとしたことや、予想の開示に至った点を評価する向きもあるが、そもそも国内市場縮小や次世代技術の台頭など「100年に1度」といわれる大激変のさなかで訪れたコロナ禍の逆風によって、かつてないほどの試練を受けているのだ。

 自動車セクターを担当する三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは、これから大消費国のインドなど新興国経済が厳しい先行きである点を踏まえ、「新車販売が世界的に19年のレベルに戻るには10年かかる」と語るほど、非常に厳しい見方を示している。自動車という産業一つを取っても、コロナは世界にそれほどの衝撃を与える災禍として降り注いでいるのだ。

 それ故、決算発表に臨んだ経営者たちからは、「リーマンショックよりもインパクトははるかに大きい」(トヨタの豊田章男社長)、「戦後最大の人類の危機」(ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長)など、事態の深刻さを意識せざるを得ない発言が相次いだ。

 東京証券取引所は通常、上場企業に対して、決算期末から45日以内に決算短信の開示を行うことが適当とのルールを定めている。

 だが、みずほ証券エクイティ調査部がまとめたデータによれば、期日の5月中旬までに決算発表に至らなかった企業は4分の1に上った。さらに、今期予想を明らかにした企業は実績発表企業の4割にとどまり、未開示企業の多さは東日本大震災後を上回るほどだ。

 2・3月期決算の東証1部企業について、同時点では19年度の通期実績で純利益が15.1%減、20年度の会社予想で18.7%減と、2期連続で2桁以上の大幅最終減益という見通しとなった。

 そして、開示企業が増えるに従って予想EPS(1株当たり純利益)が切り下がる傾向も見られており、最終的な落ち込み具合はさらに深刻化している可能性が高い。