中国政府が香港の自治を弱める法律を制定したことで、香港ドルのペッグ制に改めて注目が集まっている。中国政府への報復措置が見込まれる中、香港ドルを米ドルに固定するこの制度が米政府の標的になるのではないかと取り沙汰されているのだ。だがほぼ全ての観点からその可能性は低いだろう。香港のドルペッグ制は米国の明確なターゲットでもなければ、攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)だとも思われない。香港の外貨準備高は約4410億米ドル(約47兆3000億円)に達し、広義の通貨――銀行預金と現金通貨を含む流動資産、それに流動性の高い証券を加えたもの――の約23%に相当する。これは国際通貨基金(IMF)が資本開放度の高い経済について推計した適正レンジの上限を超えている。香港には巨額の外貨預金があるため、香港ドルのマネーサプライの尺度で比較すれば、外貨準備はさらに潤沢な水準となる。
香港ペッグ制の攻撃に意味なし、米国の対中制裁
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