今年の難局を考えると、楽観主義には希少価値がある。だがジョー・バイデン前副大統領の外交政策上級顧問を務めるアントニー・ブリンケン氏との会談を終えた筆者はこう確信した。バイデン氏の選挙陣営は、昔ながらの民主党の戦略通りにやれば、国内外で成功を呼び込めると自信を持っているのだと。この種の楽観主義、つまり懸命に努力し、原則を忠実に守れば、必ず結果が出るという信念は、アメリカンスピリット(米国人気質)を決定づける特徴だ。よりよい生活の実現を願う国家や文化を変容させるのは悲観主義ではない。また悲観主義者の国からは世界クラスのイノベーターや起業家がほとんど輩出されない。一方、外交問題では楽観主義は必ずしも擁護されない。だが悲観主義者の国であれば、マーシャルプラン(米国が第2次世界大戦後に進めた欧州復興計画)を思いつかなかっただろうし、ムアマル・カダフィ大佐の政権を転覆させることもなかっただろう。リビアは確実にもっと平和な国になるはずだ。