コロナで崩壊寸前!どうなる!?エンタメ#12
Photo:JIJI

4カ月ぶりに宝塚歌劇が再開した。心待ちにしていたファンも多く、当分の間、連日満員になるのは間違いない。宝塚は、男女の恋愛を描いた濃密な芝居や、きらびやかな衣装の出演者たちが所狭しと舞台に居並ぶ華やかなレビューが最大の魅力だ。感染対策により“密”回避を余儀なくされる演出で、ファンの心を満足させることができるのか。特集『コロナで崩壊寸前!どうなる!?エンタメ』(全17回)の#12では、日本を代表するミュージカル劇団・宝塚歌劇のニューノーマルの行方を占う。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)。

客席稼働は以前の約半分でチケット収入半減
公演再開でも赤字続きは必至

 4カ月ぶりに、夢の世界が帰ってきた。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月22日以来全公演を休止していた宝塚歌劇が、7月17日、本拠地の宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で、公演を再開した。

 休止期間となった2020年上半期は、本来、新トップスターのお披露目など話題作がめじろ押し(図参照)のはずだった。それだけに再開は、ファンにとって待ちに待った日だったに違いない。日程は見直されたが、多くの演目が上演される予定だ。

 しかし、ファンの熱気こそ以前と同じだが、劇場の様子はコロナ以前と大きく違う。

 “密”対策で、客席稼働数は最大収容数の半数で、生演奏もなし。

 そして、実は“密”対策は出演者たちにも及んでいるのだが、そのことは宝塚の存在意義を揺るがしかねない。

 というのも、宝塚歌劇といえば、豪華絢爛な衣装の出演者たちが、所狭しと舞台上を埋め尽くすレビュー(歌と踊りが主体のショー)が最大の売りだからだ。

 近年では、14年に行われた宝塚歌劇100周年記念公演「TAKARAZUKA花詩集100‼」の中で行われたラインダンス(上写真)が代表例だろう。100人もの出演者が、舞台の端から端までズラリと一列に並び、足を高く上げながら舞い踊るさまはまさに壮観、まさに“宝塚”だった。

 要するに、舞台上の“密”こそが、宝塚の醍醐味なのだが、今回の公演では、感染防止策として、一度に舞台に立つ出演者が60人を超えないように配慮されたという。

 記者はCSチャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」で放送された舞台稽古の様子や、初日の舞台中継を視聴。芝居の部分ではそこまで気にならなかったものの、レビューの部分では、やはり以前よりも舞台上が寂しく感じてしまったことは否めない。

 舞台という興行の特性上、仕方ない面があるが、ファンがどのように反応するかは未知数だ。

 仮に、コロナに対応した宝塚の演出がファンに支持されたとしても、問題はそもそもの観客の数が制限されているということ。

「“コロナ対応”が続く以上、興行面では間違いなく赤字になる」と話すのは、元宝塚総支配人で、『タカラヅカの謎 300万人を魅了する歌劇団の真実』などの著書がある、阪南大学准教授の森下信雄氏。

 公演DVDなどの二次コンテンツ、グッズ販売などがあるものの、歌劇団単体の収益のほとんどは、ほかの劇団と同じく、公演のチケット収入だという。この収益の柱が約半分になってしまう中で、どこまで経費を減らせるかだが「舞台興行は人件費や制作費などの固定費の比重が高く、経費を減らすのは難しい」(森下氏)。

 日本には「劇団四季」という宝塚と双璧をなすミュージカル劇団が存在する。四季も再開に当たって客席稼働数が約半分となるため、「収益は半分で、経費はそのまま」という点は宝塚と同じだ。

 両者はウィズコロナの収支構造にどこまで耐えられるのか。ビジネスモデルの比較で検証してみよう。比較をすると、宝塚の強みと弱みがくっきりと浮かび上がってくる。