新型コロナウイルスの影響で、選考をオンラインで行ったり、選考自体を例年より遅らせたりする企業が増えるなど、前例のない混乱となった2021年卒学生の就職活動。それでも内定率が約8割に達する現在、企業側が恐れるのが「内定辞退」だ。実は内定辞退を含めた最近の就職活動には、就活生の「親」が影響を与えているケースも少なくないという。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
女子学生の3人に1人は
「就活で親に反対された」経験あり
「内定を出した後、内定承諾書へ署名できるかを尋ねると、7割くらいの学生からは『親に相談してもいいですか?』という答えが返ってくる。こうした学生の数は、この10年で右肩上がりに増えている印象がある」
こう話すのは、住宅リノベーション事業を展開するリノべるで、人事・採用責任者を務める執行役員の安河内亮氏だ。
レバレジーズが運営する新卒就職支援サービス「キャリアチケット」が行った『就職活動におけるオヤカク調査』(2019年)によると、「就活の中で親に相談したタイミング」として最も多かったのが「内定を得たとき」(26.5%)で、2番目に多い「企業選びのとき」(17.3%)を大きく上回った。
今年はコロナの影響もあり、採用選考が例年より遅れているとはいえ、すでに内定率は77.7%(7月1日時点、ディスコ調査より)に上る。内定をもらい、大学の夏季休暇に入って時間ができたまさに今、改めて親に内定先について相談する学生もいるだろう。ただ、相談しても円満な結末に至らないケースがあるようだ。
同調査の「就職活動で親に反対されたか」という質問に対し「ある」と答えたのは、男性が14.8%、女性ではなんと33.3%にも上った。つまり、女性の3人に1人は親から反対された経験があるのだ。
学生向けの就活スクール「ホワイトアカデミー」の竹内健登校長は、「実際、内定が出てから親子がもめるケースはよくある。親御さんから『(内定をもらったある企業へ行かないように)先生から説得してください』と言われることもある」という。
なぜ就活をめぐって、親子でもめてしまうケースが起こるのだろうか。