「親を裏切りたくない」
“いい子”な就活生が増えている?
たとえ親子でもめたとしても、子どもが入社に強い意志を持っていれば、内定辞退になどつながらなさそうに思える。しかし最近では、こうした親の意向を受けて就職先を決める学生も少なからずいるのだという。
「最近は、親の意見を聞く“いい子”が増えている印象が強い。入社する企業を選ぶ際、どっちだと親が喜ぶか、親に聞かずとも勝手に親の顔色をうかがっている子もいる」(間山氏)
また、就活スクールで多くの学生やその親と接する機会が多い竹内校長は、最近の学生の傾向をこう分析する。
「当社を利用する就活生の3人に1人は、親のために就活をしている印象がある。ここまでいい大学に進学させてもらったのだから、親の考える良い会社に入るのが義務で、親を裏切りたくない、期待に応えたいと考えている。だからこそ、親に遠慮して(親が快く思わない)ベンチャーへの入社を諦める学生もいるようだ」(竹内校長)
今の就活事情を親も理解して
就活生の子に接するべき
まだ社会を経験していない就活生に対して、親からすれば知識や経験不足を不安に思って、口を挟みたくなるのは当然だろう。しかし、今の就活生は先輩やSNSなども含むネットからの情報を通じて、最新の就職事情をよく理解している。それに対して、自分の時代の就活の常識を親が押し付ければ、ギャップから親子が対立するのも無理はない。
一方で、親の意見を子が素直に聞き入れて「うちの子は言うことを聞いてくれた」とほっとしている親も、安心してはいけない。もしかすると、子どもが親に遠慮して自分の本当の志望を諦めており、親が子の夢を知らず知らずのうちに奪っている可能性があるからだ。
親が子に大変な思いをさせたくないという気持ちはわかるが、頭ごなしに「ベンチャーはダメ」「大手企業に入りなさい」と言っていては、子どもとの対立を深めたり、子どもを悩ませたりするばかり。就活の環境が親世代の自分たちと今は大きく異なっていることなどをきちんと学んだ上で子どもと接すれば、親子が建設的に相談し合えるようになり、親も安心できて、子どもの希望をかなえる就活につながるのではないか。