ここからは下り坂が続くのだろうか。電気自動車(EV)メーカーの米新興企業ニコラについて言うのはまだ早い。同社は21日、創業者のトレバー・ミルトン執行会長の辞任に揺れた。ただ先行きは芳しくなさそうだ。新技術と資金調達手法を巡るバブルの中においても、形勢不利に立たされている。EVと特別買収目的会社(SPAC)は最近のブームの定番のような存在だ。煩わしい新規株式公開(IPO)手続きやそれに伴う通り一遍のデューデリジェンス(資産査定)を待つことなしに、経験の浅い個人投資家に新興技術へのアクセスを提供してきた。だが、仮にニコラがヒンデンブルグ・リサーチの指摘するように「複雑な詐欺」だったとして、利益を出していなくても一時はフォード・モーターを超えたほどの同社の時価総額が蒸発したのであっても、それが終幕を示唆していたのではないだろう。詐欺はたいてい、バブル崩壊後――ウォーレン・バフェット氏の言う「潮が引くとき」――に露呈する。2001年のエンロンや02年のワールドコム、08年のバーナード・マドフ事件、あるいは1932年に破綻したイーヴァル・クルーガーのスウェーデンのマッチのように。