コロナ禍で応答率を
向上させた3つの理由

 コールセンター業務を在宅でも普段通りに行えて、さらに応答率を上昇させられた理由としては大きく3つ挙げられる。

 1つ目が、以前からBCP対策としてシステムのクラウド化を行ってきたことだ。コールセンター業務に必要な環境はこれまで社内に構築するオンプレミスで何十年も続けてきたが、東日本大震災以降、三重県という立地から南海トラフ地震の発生による影響も考えて、情報やツールをクラウド化することで対策を実施してきた。

 例えば、顧客情報・対応履歴管理システムは2013年~14年にクラウド化、そして電話交換機についても18年~19年にクラウドへと移行させた。今回のコロナ対応ではコールセンター業務に関わるパソコンにもVPN通信を導入して、ほぼすべての業務が自宅で行える環境を整えられたという。

 2つ目が、テレワークテストによるオフィスから在宅へのスムーズな移行だ。2月中旬から、大谷さんを中心にテレワークが本当にできるのか社内での検討を開始。どのような機材が必要か、何がリスクか、メンバーの自宅のネットワーク環境の確認などを行った。

 そして3月初旬には、コールセンターとは別の場所にある本社でテレワーク仮想テストを実施。そこで分かった問題点を洗い出して、関係部署などに相談した上で、3月末にはメンバー全員が順番に自宅で1日テレワークを体験するテストを実施し、その後、順次テレワークへと移行していったという。

「もともと自宅でコールセンター業務ができるのか不安だったメンバーに、1日ずつ交代でテレワークを経験してもらうことで、本格導入前に普通に業務ができることを認識し、安心してもらうことができた」(大谷マネジャー)

ビーイングSlackでのコミュニケーションの様子 画像提供:ビーイング
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 3つ目が、コミュニケーションを積極的に取れる状況を作り、メンタルフォローを行ったことだ。やはりテレワーク下で心配されるのが、物理的に距離が離れることで相談しづらくなったり、孤立してしまったりすること。そこで大谷さんは、Slackでのコミュニケーションを導入し、気軽にフォローできる体制を整えた。

「Slackでのコミュニケーションはまず、私とチームリーダーで始めることで地ならしをし、その後にメンバーに入ってもらった。例えば、新人メンバーが電話対応を開始するときにはエールを送ったり、メンバーが休みから復帰した際にも温かくフォローできるように、絵文字もカスタマイズでいろいろなものを導入している」(大谷マネジャー)