コロナ対策Photo:Stefan Cristian Cioata/gettyimages

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、「3密の極み」のまま放置されていることが浮き彫りになったコールセンター。記事を読んだオペレーターたちからは、現時点でも多くの職場で感染防止対策が不十分な実態が編集部に伝えられた。情報セキュリティの観点などからすぐには在宅化が難しいというコールセンター。今できる対策はないのだろうか。産業医がまとめた情報を紹介したい。(ジャーナリスト 藤田和恵)

緊急事態宣言の後も
“対策ゼロ”の職場が多い

 25日のダイヤモンド・オンライン記事『コールセンターの「極限3密」苛酷実態、非正規雇用の不安が追い打ち』を公開して以来、多くの現役オペレーターたちからの意見が編集部に寄せられている。電話の向こう側にあるコールセンターは人の目に触れにくいが、寄せられた声から浮かび上がるのは、緊急事態宣言発令後でも“対策ゼロ”の職場が少なくないという実態だ。

「緊急事態宣言後も、相変わらずオペレーター(同士の距離)は前後左右1メートル以内。換気もされていません」
「パソコンやデスク、電話などは共用。個人で除菌対策をしないといけない」
「マスクの支給がないので、ほとんどのオペレーターがマスクなしで応対しています」

 自宅で過ごす人が増える中、コールセンターの入電(問い合わせ)件数は増加傾向にある。職場は人手不足のため、体調不良でも容易に休めない状態にあるとみられる。「同僚が37.4度の発熱で早退するも、熱が下がったからと2日後には通常出勤していました」「休憩室が居酒屋のように込み合っている」という状況は、そこで働く人でなければ想像もつかない厳しさだ。

 企業が一定の対策をとったものの、「座席はひとつ置きになったが、それでも2メートルの距離は確保できていない」など、オペレーターの不安解消には至らない事例があった。さらには、「3密改善を要望したが、(会社側が)聞き入れてくれない」、「席を空けて座らせてほしいとお願いしたが、入電本数が減ってしまうので無理と言われた」など、現場の声を無視し、クライアントの顔色をうかがうかのような会社に対する不信感を訴える声もあった。

 本来、コールセンターのコロナ対策はどうあるべきなのだろうか? 実は東京商工会議所が、非常に分かりやすい指針を公開している。