『週刊ダイヤモンド』10月31日号の第1特集は「ゼネコン・不動産の呪縛」です。公共工事を巡る政治の呪縛、景気が沈めば逆回転する不動産の呪縛、業界序列の呪縛、人事の呪縛に迫ります。

中長期目標に「事業規模2兆円」
大林組、鹿島に肩を並べようとした

Photo by Tomomi Matsuno

「業界ナンバーワンを狙って目標を上げ過ぎた。それから、おかしくなったんでしょうね」。今年6月に大手ゼネコンの大成建設の村田誉之社長(現副会長)が社長を辞任したことに対して、あるゼネコンの首脳はそう語った。

 大成は中長期の目標として「事業規模2兆円」を掲げた。2020年3月期売上高(連結)でトップの大林組は2兆730億円、2位の鹿島は2兆108億円。大成はこれらに肩を並べようとしたのである。

 村田氏は社長交代を発表した会見の場で、18〜20年度中期経営計画(下表参照)の未達が見えており、「執行部門の長としてけじめをつける」という意味での辞任だと自ら説明した。

 現中計は、10年に策定した社内向けの長期ビジョンの最終フェーズと期間が重なっていた。23年の創業150周年に向けて総仕上げをする時期でもあった。

 ここで中計の大幅未達を見込むことは、村田氏にとって相当なプレッシャーだった。そもそも現中計の1年目、2年目は実績を伸ばしていた。それなのになぜ、3年目の今年度は落ち込むのか。

 今年度は新型コロナウイルスの感染拡大のさなかだが、建設業への影響はまだ大きなものになっていない。それでも大成はコロナの影響で工事の工程が遅れ減収、リニューアル工事などの受注も減り、売上高が伸びないと説明している。

 中計の3年間は、20年夏に開催が予定されていた東京五輪・パラリンピックに合わせた工事がめじろ押しになっていた。建設業界には仕事があふれ、人手や資材の不足に苦しめられた。それは大成も例外ではなかった。

 住友不動産が施主の東京・西新宿5丁目の再開発工事では、大型ビル2棟のうち、大成が大きい方のA棟を受注したものの、小さい方のB棟に手が回らず、B棟は他のゼネコンが受注した。人手や資材に逼迫したが故に取りたい工事を取り切れない事態が発生した。