会社発表後に
現場コロナ感染は
さらに7人増えた
大成は7月15日に、都内作業所で従業員15人(社員11人、派遣社員4人)、専門工事業者2人のコロナ集団感染が起きたことを発表した。この作業所は、9月末に竣工する予定だった東京都千代田区にある日本郵政霞が関本社ビルの耐震化工事の現場で、感染の発覚により22日間現場作業が止まった。
感染症である以上、感染が起きることは仕方がないが、その人数の多さが職人たちに恐怖を与えた。職人が自主的にPCR検査を受けたところ、さらに7人の感染者が見つかっている。
この追加の7人が見つかる前に保健所の調査に協力した大成は、作業所の従業員15人と専門工事業者2人は濃厚接触者ではないと認定され、それを国土交通省に報告し、職人たちにもそのように説明したという。同じ現場の職人の中で感染者がさらに7人も増えているのに、別経路としているのだ。
事態を知った日本共産党の参議院議員は、7月30日に開催された国土交通委員会で国交省の不動産・建設経済局長にこの件を質疑した。職人9人の感染が発覚したことを問題視したもので、現場に出入りする全ての従事者のその後の職場の追跡や、休業補償の考え方を示す内容を建設業向けのコロナ感染拡大防止のガイドラインに盛り込むべきではないかと、この議員は提起した。
ダイヤモンド編集部の取材によると、この委員会翌日の31日、大成は専門工事業者を集めて休業補償の説明をし、大成の労働者災害補償保険(労災)を使った労災申請をするように職人に呼び掛けた。
大成の労災を使うのならば、大成は従業員から専門工事業者に感染が広まったと認めているようにも思える。大成は、「罹患した専門工事業者は感染した当社従業員の濃厚接触者には該当しないということではあるが、労働者保護の観点から、監督官庁と協議の上、労災申請を実施した」と説明するが、結局、感染拡大を防ぐ手だてが後手に回った感がある。