銀行再編の黒幕#14
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政府の指摘を受け、振込手数料の値下げの議論が始まった。銀行の減収は避けられないが、その代わりと言わんばかりに、メガバンクは悲願である“銀証の壁”撤廃を訴え掛けている。特集『銀行再編の黒幕』(全16回)の#14では、足元で激論が交わされている銀行間手数料と銀行・証券会社間の規制緩和という二大テーマを解説する。(ダイヤモンド編集部  田上貴大)

銀行間手数料の値下げで減収は必至も
メガバンクと地銀が別の改革を政府に訴える

「銀行間手数料は負けを認めるしかない」と、大手地方銀行の首脳は白旗を掲げる。だが、同時に不敵な笑みを浮かべてこう付言する。「代わりに何を勝ち取れるかが重要だ」。

 銀行間手数料の値下げ問題が今、銀行業界にとっての憂い事だ。銀行間手数料とは、法人や個人が銀行間で振り込みを行うときに、振込元の銀行から振込先の銀行に支払われる手数料のこと。各銀行は顧客や金額ごとに振込手数料を設定しているが、その一部を銀行間手数料が占めている。

 始まりは、独占禁止法の番人である公正取引委員会が今年4月に開示した実態調査報告書だ。

 公取委は昨年来、新興の金融サービスが既存のサービスと競争する上で独禁法などの違反がないかどうか調査を進めていた。キャッシュレス決済について、加盟店口座に送金する際のコスト負担への不満などが、決済サービス事業者から噴出していたからだ。

 この過程で公取委が着目したのが銀行間手数料だ。手数料が実際の事務コストを上回り、金額の多寡について40年以上議論されていない。固定化された手数料が安価なサービスの発展を阻害しているとみて、銀行間手数料について「是正に向けて取り組むべきである」(報告書)と指摘した。

 これで終わりではなかった。